ジーンズに古いケチャップ痕がある

◎短歌もどき「ジーンズに 古いケチャップ 痕がある
                     近寄る犬の 妙な怖さよ」



ずいぶん前のことだけど、
散歩中に暑くなったので公園のベンチで上着を脱ぐなどしていた。

すると、とても立派な秋田犬を連れた人が通りかかり、
気さくに私に話しかけてきた。
犬自慢です。

自慢に値するだけの様子のいい犬だったので、
私も普通に会話をし、頭を撫でようとしたのですが、
どうもその自慢の秋田犬が我が右手の匂いを嗅ぎに来るのである。

ひょいと手を後ろにやると、
犬もベンチの後ろに回ろうとして飼い主にリードでたしなめられる。

そこで気付いた。
散歩中に、愛想の良いノラ猫に出会ったので、
しばしヤツの背中や腹を掻いたりして遊んだばかりだったのだ。
多分、私の右手には、ネコの臭いが付いていたのだろう。
私自身には全く分からないけど、犬にとっては濃厚な臭いが。

気付いてしまうと、急に恐くなった。
秋田犬だから、ガブっとやられると千切れるかもしれぬ。
適当に場を誤魔化して、そそくさと逃げ帰りました。


どうもね、小さい頃から犬には苦手意識がありまする。
ほぼ克服できているんだけど、今でも時々怖くなる。
何しろ、奴らの嗅覚世界がこっちには全く分からないからなあ。

歩いていて、妙に犬に吠えられる日と、そうでない日がある。
一体、何が違うんだろう?