バブル期のエッセイに乗り梅雨の旅

◎川柳「バブル期の エッセイに乗り 梅雨の旅」



バブル期から、そのちょっと後くらいのエッセイ集を読んだ。

文章そのものも楽しんだが、
それ以上に当時の流行りを思い出し、いろいろ連想を広げている。

中に、ウイスキーの水割り缶の話題があった。
ちょうどこれが出て広まった時期が、
いっぱしの酒好きになったような気がしていた頃なので、
とても印象的に記憶に残っています。


ちとした思い出話でございます。

確か、青春18切符でローカル鉄道に乗っていた時のこと。
夕方になったので、車窓の景色を楽しみつつ飲もうと考え、
ワンカップ日本酒とツマミを買った。

ところが、なのである。
四人用のボックスシートではなく、
通勤用のロングシートの列車がやって来てしまったのです。

まあ幸い、乗客はほとんどおらずガラガラだったので、
飲酒開始を強行した。

シートに斜めに座り、置く場所がないワンカップを膝の間に挟み、
ツマミの袋を開け、ちびちび飲みながら、車窓の好景を眺める。
ちぐはぐではあったけど、至福の時間でした。

そこで、もう一つの想定外が生じてしまったのです。
とある駅で列車が停まったところ、
大量の高校生が乗り込んできて、たちまち満員に。
私の周囲は女子高生だらけ。

あれは恥ずかしかったなあ。


その後、程ない頃、知り合いと二人で地方に行った際、
電車の中で飲もうと意見が一致した。
一人でキオスクに行った彼が買ってきたのが、
ウイスキーの水割り缶だったのです。

「こりゃあいい」

そう思いましたね、心底から。
これなら一人で女子高生に囲まれてしまっても、
大して恥ずかしくなく飲むことが出来る。
ツマミも、イカクンとかチクワのようなのでなくて済むし。


最近は、水割のペットボトルもありますね。
これがとってもいいのです。
水割缶の登場から20年近くたったと思うけど、
時代は確実に進化しているよな、と実感させてくれるエッセイなのでした。