三万人はリピーター
かみじょうたけし著「甲子園笑伝説!」。
甲子園に詰め掛ける熱心なファンの姿、
売り子さんたちの生態、
スタンドでどんなドラマがあるのか、
など高校野球の魔力が実体験から語られている本です。
著者は坂東英二のモノマネで知られるタレントさんで、
内容は非常に軽くスイスイと読めますけど、
意外に人間や社会の真理を突いている感があり、面白い。
知らない世界の事でもあるし。
もしかして甲子園の五万人のうち、三万人はリピーターちゃうかな。
同じ人ちゃうかなと思う時がある。
うーん、そうだったのか。
あまり考えたこと無かったけど、そういう世界なんだろうな。
競馬だって同じで、よく見る顔ばかり。
息子を応援してくれた人にビールを奢る母親のエピソードなどは、
感動させてくれて読みどころでもあるのですが、
本書の本質は「智弁おじさん」でしょう。
趣味が高じて甲子園近くに引っ越して来たとか、
高校野球ファンと結婚し某高の練習を新婚旅行で見に行ったとか、
「出すぎた杭は打てない」とは人生の達人の言葉としか思えない。
私なんか、甲子園まで一時間圏内にいるが、滅多に行くことはない。
遠くに住むファンに申し訳なく思う読後であります。
以下は本の内容から離れて、個人的な思い出。
千葉の印旛高校と、PL学園の戦いだった。
私は、千葉県で小学生になり、転校で関西に来ていた。
この決勝戦は、引っ越しからそれほど経ってない時期のこと。
だから印旛高校を応援しつつの内野スタンドでした。
試合は、印旛がトラの子の一点を守って完封を目指すが、
9回裏に逆転されてサヨナラ試合となった。
いわゆる「逆転のPL」伝説になった一戦。
印象に残っているのは、
周囲の大人たちがずっと静かに試合を見ていた事。
ところが、PLが逆転した途端に大盛り上がりで、熱狂の渦!
なんと、印旛を応援していたのは自分だけ!
そうか、近隣なのだから、ほとんどがPLびいきなのは当然。
しかし子供の私は、それに気付かずに印旛を応援していて、
四面楚歌だったのを突然知って愕然としたのです。
関西に引っ越して来たんだな、と強く実感した一瞬でした。
忘れられません。
※調べたら、当時のPLにはジャイアンツの吉村がいたらしい。
外野守備での大けがが痛かった。