柿渋、タブノキ、そして・・・植物利用関連読書三冊




前回、「栗」の本について記事にしました。
図書館でほぼ同じ位置にあったので、
植物利用関連の本をあと三冊読みました。





「栗」と同じ著者によるもの。

魚網、木製容器、衣類、和紙、建築塗装などの用途で、
私が思っていた以上に大量の柿渋が使われていたようで、
驚かされました。
甘柿より、渋柿の方が経済的価値があったとか。

今でも郊外に行くと、たくさんの柿の木があります。
収穫されずにいつまでも樹に残る実を見て、
食用だけにしては多すぎる様に思っていました。
なるほど、そう言う事かと、本書で納得。

そして現在、需要は随分と減ってしまったが、
清酒製造用にはまだ使われていて、
問屋さんがあると知って、なお驚きました。

いやあ、知らないことが世の中には溢れています。
星四つ。☆☆☆☆





タブノキの存在は知っていた。
しかし、一冊の本にまとめる程の存在なのか、
読み始める前には疑問に思ってました。

浅はかでありました。

歴史的に、漢字的にも、クスノキと混同されてきた、
という掴みの部分がまず面白い。

丸木舟としての利用や、
日本人のルーツに関わる民俗学的興味の部分では、
一つの樹種がもつ大きなロマンを感じさせられました。

そして、タブ粉として線香に使われたとは、
全く知識になかったので興味深かったです。

我が阪神地域にはあまり無い樹種なので、
馴染みはほとんど無いのですが、
一度、どこかへ見に行ってみようと思います。
まずは大阪市内の街路樹からかな。

星四つ。☆☆☆☆





単なるエッセイかと思い、手に取ったのだが、
民俗研究フィールドワークの聞き書き結果が
たっぷり詰まった中身の濃い一冊でした。

主として食に関して、
話を聞いたのが女性だからこそ、
相手が心を開いて話をしてくれている感が強い。
エライ先生の前でかしこまった村人、
事務的聴きとりを適当にあしらった回答、
といった感じではない、ナマの声がそのまま書かれている。

それぞれの植物に対して、さほど長い文章ではないが、
どれも昔から日本人が知恵を絞って、
生きるため、楽しむため、人間らしくあるために、
自然と向き合ってきた歴史が表現されています。

価値高い一冊でした。
出会えてよかった。星五つ。☆☆☆☆☆