行者山のアカマツ-ハナゴケ群落
私がよく歩く範囲内では、
塩尾寺周辺のウラジロガシ林がいわゆる極相状態で、
原生林に近い森になってます。
直径50cm、高さ20m、
を超える様に見えるカシの大木たちによる薄暗い森は、
威厳を感じさせる雰囲気です。
実はもう一つ、原生林に近い場所がある。
ただ、こちらは別の意味で。
六甲山系の所々に、
植生的に「アカマツ-ハナゴケ群落」と呼ばれる自然林があります。
行者山の東観峰あたりが、これに当ります。
「六甲山系電子植生図鑑」には、
高さ約2~5mの常緑針葉樹の疎林で、階層は3層です。
岩場に限って見られる、自然林のアカマツ林です。
このような所では、
土や栄養分や水分が十分になくても生きていける、
耐性の強い樹木だけが生育しています。
林を識別するアカマツ,ネズ,ナツハゼ,イソノキなどの樹木や、
ヒメハギ,ススキ,トダシバなどの多年草が、その代表です。
とあります。
つまりは、土に栄養が無さ過ぎて、高い木が育たない。
これ以上遷移が進まないのだから、
ある意味、原生状態に近い訳だ。
ウラジロガシ林とは対照的に、
威厳も何も無い場所であります。
六甲山系電子植生図鑑では、
アカマツ、ネズ、ナツハゼ、イソノキを代表として挙げていますが、
行者山では、ソヨゴ、イヌツゲ、コバノミツバツツジ、
ツクバネウツギ、ガンピ、なども目に付きます。
林縁には、コナラやクリの低木もあります。
樹高は、高いもので3mくらい。
我が身長よりも低い木ばかりです。
ここの木たちは、貧栄養、乾燥にさらされている一方で、
高木がないから日光はたっぷりと浴びています。
「陽樹」達の避難場所といった感じ。
また、貧相な植生とはいえ、
ササユリ、ヒメハギ、テリハノイバラが咲く時期には、
来た甲斐があったなと感動もさせられるのです。
さて、年明けに、この辺りをまた歩いたら・・・
マツグミを見つけました!
何度も歩いている登山道横なのに、
何故これまで気付かなかったのだろう?
恥ずかしいです。
しかし、こんな貧栄養の林にも、寄生があるんですねえ!
水と無機栄養を寄主のアカマツから貰っているらしい。
まあ、寄主を枯らすようなことは無いらしいが、
それでも厳しい世界だなあって、
改めて思い知らされました。